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教員名 : 永野 宏志
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開講年度
2025年度
開講学期
前期
科目名
文学B
授業種別
講義
科目名(英語)
Literature B
授業情報(授業コード・クラス・授業形態)
A0200654 文学B [全][遠隔(オ)]
担当教員
永野 宏志
単位数
2.0単位
曜日時限
水曜1限
キャンパス
八王子 遠隔
教室
学位授与の方針
1 基礎知識の修得 50%
2 専門分野の知識・専門技術の修得 0% 3 汎用的問題解決力の修得 0% 4 道徳的態度と社会性の修得 50% 具体的な到達目標
人、社会、文化に関する基礎的知識をしっかりと身に付け、それに基づいて自身の考えを深めることができるようになる。社会的環境と照らし合わせながら、将来を展望する。
受講にあたっての前提条件
人、社会、文化に関する知識への関心をもっている。
授業の方法とねらい
※<本授業は、KU-LMSにて授業進行用の資料PDFを授業日前に配布し、KU-LMSにて小レポートの課題を提示する。ので、授業日内に「レポート」欄に200字以上で小レポートを提出していただく(間に合わない場合はQ&A欄にて対応する)。以上のルーティンで進めていく点について、あらかじめご了承いただきたい。>
この講義は、IT(インフォメーションテクノロジー)とBT(バイオテクノロジー)が指数関数的進化を遂げ、GNR(遺伝学、ナノテクノロジー、ロボット工学)が無制限の最小化を目指しつつウェアラブルまで来た現在から、IoT(インターネット・オブ・シングス)の進化によって人間なしの機械同士のネットワークへと向かう未来をフィクションの側から見つめ直す。その具体例として、ITとBTに熟知した伊藤計劃(+円城塔)の2000年代の3冊の小説作品を、半分だけ後ろ向きの歴史に沿って進行する予定である。ただし、あとの半分は私たちの目の前に広がり身体を包む世界の未来を見据えたい。そのため、まず私たちは「人間ではない」という立場から出発しよう。非生物的機械に触れ、手に持ち、体内にさえ取り入れる私たちはサイボーグであり、さらにはそれに操作されるロボット(またはゾンビ)かもしれない。この傾向は、コンピュータの指数的進化による際限ない小型(ミクロ、ナノ)化によってもたらされ、この進化の先に人工知能の処理能力が人間の知能を追い越す「技術的特異点」が来るという議論をも巻き起こしている。加えて、それを先取りし折り込んでIT化した政治経済が作動しているのであれば、現実こそがSF的なのだ。ならば、この進化を集約した小さく強力な怪物をカバンやポケットに棲み着かせている私たち非人間は、非生物的な知能と対話し、融合さえしようとする世界へ進みつつあるといえる。そのような事態にある私たちを、この講義では「トランスヒューマン」と呼び、この講義のテーマを<私たちトランスヒューマンとフィクションとの関係について>としたい。 MMI(マンマシン・インターフェース)からBMI(ブレインマシン・インターフェース)への架け橋となるべく、すでにスマホゾンビと化して、生きる環境自体をVR(バーチャル・リアル)に占有させる私たちに、何が起こっているのか、テクノロジーはこれから何をしようとしているのか、と問いかけるための、フィクションの新たな使い方を身に着けることが、この授業の目標である。 AL・ICT活用
e-ラーニング等ICTを活用した自主学習支援/その他
第1回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
授業内容
伊藤計劃紹介:アニメ版『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』のあらすじを紹介し、伊藤計劃SFの特徴を概説する。
キーワード=〈道具から環境へ、IT,BT,ネットワーク〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第2回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
伊藤計劃以前:インターネットの普及とともに出現したサイバーパンクSFの物語の特徴を、いくつかの作品を紹介しながら検討する。人間至上主義と英雄物語という点から検討する。
キーワード=〈サイバーパンク、インターネット、マンマシン・システム、人間至上主義〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第3回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『虐殺器官』①:作品の序盤を紹介しながら、新しい主人公と古い物語パターンによって現実と地続きの未来が描かれる点を検討する。
キーワード=〈物語パターン、サブジェクトからエージェントへ、データ至上主義〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第4回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『虐殺器官』②:作品の中盤を紹介しながら、ゲーム的世界に設定された作品が、SF的未来によって私たちの現実を映し出す点を検討する。
キーワード=〈ナノ化する技術,ゲーム的世界、プレーヤーとキャラクター、生成文法〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第5回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『虐殺器官』③:作品の終盤を紹介しながら、「虐殺の文法」がどの程度まで私たちの現実に部分的に浸透しているのか、という点を検討する。
キーワード=〈二項コード、利己的遺伝子、利他主義、プロパガンダ・モデル〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第6回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
ブレイク(1) 伊藤計劃と同時代の日本のタイムリープ物語(『時をかける少女』、『君の名は。』)を取り上げ、1990年代以降頻発する取り返しのつかない天災・人災と技術進化の関係を背景に、災害回避の物語として、英雄物語の変形パターンに分類する。
キーワード=<取り返しのつかない出来事、惨事便乗型資本主義、プレイヤー、キャラクター> 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第7回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『ハーモニー』①: 作品の序盤を紹介しながら、この作品の主人公と管理社会が成り立つために必要な現在の技術とそのSF的な進化の形態について検討する。
キーワード=〈監視社会、管理社会、リソース、ビッグデータ〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第8回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『ハーモニー』②:作品の中盤を紹介しながら、この作品に描かれる未来社会のシステムのベースになる理論について検討し、その理論にある盲点とシステムの脆弱性を取り出す。
キーワード=〈トップダウンIT社会の3層とその外、脆弱性とテロ、双曲割引〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第9回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『ハーモニー』③:作品の終盤を紹介しながら、AIが語り手の世界とその外側の世界を取り出し、外側の世界も含めたクライマックス後の世界を予想する。
キーワード=〈リバースエンジニアリング、統計データ、語りの限界〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第10回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
ブレイク(2) 伊藤計劃と同時代の海外のファースト・コンタクトSF『インターステラー』と『メッセージ』について、すでに検討したタイムリープ物語と比較する。タイムリープ物語は未知を災害と捉えて回避するのに対し、ファースト・コンタクトSFは科学の言語を通して未知を受け入れる特徴がある点を指摘する。
キーワード=<未知なる未来、科学言語、未来の記憶、逐次的/同時的> 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第11回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『屍者の帝国』①:作品の序盤を紹介しながら、アニメ版と小説版の違いを指摘し、19世紀という舞台設定の物語と、「屍者」というキャラクターの特徴を検討する。
キーワード=〈エージェント+リソース=ゾンビ、スチームパンク、心身二元論〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第12回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『屍者の帝国』②:作品の中盤を紹介しながら、アニメ版と小説版の違いを指摘し、「計算者」というキャラクターに託されたトランスヒューマニズムを検討する。
キーワード=〈ロボット、アンドロイド、トランスヒューマニズム、不死の理論〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第13回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
『屍者の帝国』③:作品の終盤を紹介しながら、アニメ版と小説版の違いを指摘し、ザ・ワンの主張とフライデーの言葉から、この作品のデータ至上主義に対する批判を取り出す。
キーワード=〈複雑系、多様性、意識、物語の直線性〉 事後学習・事前学習
KU-LMSにて事前に配布する授業進行用の資料PDFを必ず通読しておく。
1時間
第14回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
総括=フランケンシュタインの末裔たち:AI開発の歴史とSFの歴史の両者を辿りながら、データ至上主義社会がさらに進展する、AI搭載のロボットと共生する近未来にどんな事態が起こりうるかを予想する。
キーワード=〈有機的知性、無機的知性、問題解決、感情〉 事後学習・事前学習
最終レポートを2500字以内で作成する。
6時間
第15回
授業形態
遠隔(オンデマンド)
授業内容
まとめ・・・授業時間内にCorse Powerの最終レポート回収欄にて、最終レポートを回収する。
事後学習
春休み期間中に『虐殺器官』、『ハーモニー』、『屍者の帝国』を再読する。
6時間
成績評価の方法
毎回対面授業時にKU-LMSのレポート欄に課題を出題するので、200字以上で小レポート作成し、授業日内に提出して毎回の平常点とする(50点)。さらに、学期末に2500字以上の最終レポートを作成し、最後の授業時間内にCouse Powerに提出して、最終の学習達成度を評価する(50点)。両者を合わせて100点満点とし、S,A,B,C,D,Fに変換して相対評価する。
受講生へのフィードバック方法
毎回の小レポートを回収後、週末までに採点、集計、評価をして講評をアップし、各自に評価を通知する。
質問はQ&A欄にて受け付ける。 教科書
伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)、伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫)、伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』(河出文庫)
参考書
レイ・カーツワイル『シンギュラリティは近い』(NHK出版),ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(上・下巻 河出書房新社)、ニック・ボストロム『スーパーインテリジェンス』(日本経済新聞出版社),P・W・シンガー『戦争請負会社』(NHK出版),スティーブン・ピンカー『言語を生み出す本能』(NHKブックス),リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』(紀伊国屋書店)、ノーム・チョムスキー『メディアとプロパガンダ』(青土社)、テッド・チャン『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫),マイケル・S・ガザニガ『脳のなかの倫理』(紀伊國屋書店),ジョージ・エインズリー『誘惑される意志』(NTT出版)、ブルース・シュナイアー『超監視社会』(草思社)、金子邦彦『カオスが紡ぐ夢の中で』(ハヤカワ文庫NF)、スヴェトラーナ・セミョーノヴァ『フョードロフ伝』(水声社)
オフィスアワー
KU-LMSにて、授業日の前後に。
受講生へのメッセージ
人間の知性をコンピュータの知性が超えるとカーツワイルが予測した技術的特異点(別名2045年問題)が迫ってくる事態が想定される場合、<予知>や<予言>のような一過性の思い付きではなく、私たちはどんな想像力と論理力によって<予測>する力を養えばよいのか? その際に必要な実践的な想像力を、現在をしっかり見据えた近未来フィクションを例に鍛えていただきたい。
実務家担当科目
実務家担当科目ではない
実務経験の内容
教職課程認定該当学科
該当なし
その他の資格・認定プログラムとの関連
関連する科目でない
教育課程コード
Ⅰ2b/A2b
教育課程コードの見方【例】 Ⅰ2a(Ⅰ…Ⅰ群、2…2年配当、a…必修) ※ a : 必修 b : 選択必修 c : 選択 ※複数コードが表示されている場合には入学年度・所属学科の学生便覧を参照のこと
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