シラバス情報

開講年度
2026年度
開講学期
前期
科目名
凝縮系計算物理学特論
授業種別
講義
科目名(英語)
Computational Condensed Matter Physics
授業情報(授業コード・クラス名・授業形態)
Z0700012 凝縮系計算物理学特論 [対面]
担当教員
屋山 巴
単位数
2.0単位
曜日時限
水曜5限
キャンパス
八王子
教室
1W-027講義室

学位授与の方針
A 専攻する研究領域における高度な専門知識を身につけたもの 100%
B 科学技術を運用する能力を身につけたもの 0%
C 主体的に研究に取り組み、社会や職業についての知識や技術者や研究者として必要な倫理観を身につけたもの 0%
D 特定の専門領域における創成能力を身につけたもの 0%
具体的な到達目標
電子・光デバイスをはじめとする現代の機器類の材料設計・開発には、量子論に基づく物性の理解が必須である。理論物性解析手法は、物性物理の理解において実験的手法と両輪をなす重要な技術であり、中でも密度汎関数理論に基づく第一原理計算は多体粒子系の量子力学を現実的な計算資源のもとで計算可能とする有用な研究手法として物性物理学分野の一翼を担うものである。本講義では、第一原理計算に加えて、分子動力学手法などスケールの異なる手法についても概観しながら、理論計算手法と物質科学との結びつきを取り扱い、下記内容の修得を目的とする。
・多体粒子系の量子力学に基づく凝縮系計算物理学の手法の基礎を習得する。
・凝縮系計算物理学の方法を通して、物性物理学の理解を深める。
受講にあたっての前提条件
量子力学と熱・統計力学についての基礎知識があり、数値計算手法に興味があること。
学部の応用物理学科で開講される量子力学I、量子力学IIおよび量子物理学の内容を習得していることが望ましい(必須ではない)。
AL・ICT活用
特に活用しない

授業計画
【授業計画】
第1回:Schrödinger方程式:波動関数とエネルギー準位
一粒子(電子)系の量子力学の復習として、自由な電子、量子井戸、水素原子などを取り上げ、電子状態の考え方をおさらいする。
第2回:変分原理と一電子近似
多体粒子(多電子)系のSchrödinger方程式をそのまま解くことはできない。一電子近似の方程式を導くために必要な変分原理について学ぶ。
第3回:Hartree-Fock方程式
重要な一電子方程式であるHartree-Fock方程式を導く。
第4回:交換積分
引き続きHartree-Fock方程式を扱い、古典力学では説明できない交換積分Jによりスピンの概念が生じることをみる。
第5回:密度汎関数理論:Hohenberg-Kohnの定理
Hohenberg-Kohnの定理によって示された密度汎関数理論を扱う。
第6回:密度汎関数理論:Kohn-Sham方程式
密度汎関数理論に基づいて量子状態を計算するための具体的な表式であるKohn-Sham方程式を導入する。有効ポテンシャルについて理解する。
第7回:バンド理論:周期系の量子状態
結晶のような周期系における波動関数はBloch関数である。Blochの定理を復習し、電子状態をバンド分散図によって整理することの意味を学ぶ。
第8回:状態密度と電荷密度分布
第一原理計算の結果を読み解くうえで重要な状態密度と電荷密度分布を取り上げる。
第9回: 様々なスケールの数値計算手法
物性を包括的に理解するために、スケールの異なる手法を適切に使い分けることが重要である。
第一原理計算と分子動力学手法の関係を学ぶ。これらの理論的手法から、物質のどのような性質を知ることができるかを具体的に学ぶ。
第10回:結晶モデルの作成
第一原理計算ソフトウェア(Quantum Espressoなどを予定)を用いて第一原理計算を行う。
1回目はその準備として、結晶モデルの作成手法、計算機へのリモートアクセスなどの方法を学ぶ。
第11回: バンド計算の手順
第一原理計算を実施し、バンド分散図、状態密度、電荷密度分布を可視化する。
第12回:データ解析
得られたデータをまとめる。データのポスト処理に必要なプログラム作成手法(Pythonを使用予定)を学ぶ。
第13回:レポートの作成手法について
本講義で扱った理論についてレポートを作成する。数値計算実習で得られた結果もレポートにまとめる。
第14回:授業内容のまとめ
第1回から第13回までの授業内容を総括する。
第15回:学習成果の確認

キーワード:物性物理学、バンド理論、計算科学

成績評価の方法
数値計算課題の実習および理論に関するレポートにより評価する。成績はA+〜Fの6段階評価で、D以上を合格とする。講義を4回以上欠席した場合は評価の対象外とする。
受講生へのフィードバック方法
課題について講評を行う。

教科書
参考書
前園 涼、 市場 友宏 著、「動かして理解する 第一原理電子状態計算(第2版): DFTパッケージによるチュートリアル」

オフィスアワー
前期水曜4限の時間に八王子キャンパスでお話しできます。
メールで約束していただくと確実です。
yayama.tomoe@cc.kogakuin.ac.jp
受講生へのメッセージ
理論計算の手法は物理学そのものへの理解を深めるために有効です。
数値計算の素養を身に着けることは、自分の専門が理論計算である場合だけでなく、
実験を主として行う場合にもず役に立つ場面があると思います。
ぜひ興味を持って受講してください。

実務家担当科目
実務家担当科目ではない
実務経験の内容

教職課程認定該当学科
電気・電子工学専攻